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尿沈渣検査は,試験紙法による尿定性・半定量検査と並ぶ基本的な臨床検査である.日常診療や健診(検診)で幅広く行われ,腎・尿路系疾患の診断はもとより,全身状態を知るスクリーニング検査として価値がある.わが国の尿沈渣検査は,臨床検査技師会一般検査研修班と臨床検査医との長年の共同研鑽により2000年春,現NPO法人・日本臨床検査標準協議会(Japanese Committee For Clinical Laboratory Standards:JCCLS)が世界に通用する「尿沈渣検査指針(Yellow Book)1)」を発刊するまでに至らしめ,これに基づき正確度・精密度の高い検査成績を,どこでも,いつでも,迅速に得られるようになった.一方で,大手分析機器メーカーの開発努力によりフローサイトメーター(flow cytometer:FCM)などによる尿中有形成分自動測定装置も1995年以降相次いで登場し,従来法の鏡検による尿沈渣検査のスクリーニング検査用装置として診療機関・健診(検診)機関で広く使用されるようになった.
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
尿は最低限の溶媒(水)に血液中の不要物質を溶かし込んだ成分と,腎~外尿道口で形成あるいは排泄された有形・無形の成分との集合体である.十分混和した尿を遠心管に10ml採り,500G・5分間遠心後,上清を除去し,沈渣量を0.2mlとする(必要であれば染色液を添加する).15μlをスライドグラスに載せ,カバーグラスをかけ,初め弱拡大(LPF:100倍)で,次いで強拡大(HPF:400倍)で鏡検する.一方,自動分析法は1ml弱の尿試料を遠心分離することなく(unspun urine)装置に吸引させ,2~3分で血球,上皮,円柱,細菌などを区分・定量分析する方法である.結果は従来法の定性的記載(x個/HPF) のほか,現在,世界標準となりつつある定量的記載(x個/μl) も行われる.
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