特集 臨床医必携 単純X線写真の読み方・使い方
骨格系
骨転移―単純X線写真で見逃さないために
青木 純
1
1群馬中央総合病院放射線科
pp.288-293
発行日 2004年11月30日
Published Date 2004/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101217
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典型的な症例
図1は76歳男性の左肩正面像である.肺癌の既往があり,鎖骨骨折をきたした.X線像では鎖骨中央に骨吸収像が2カ所みられ,一方(矢印)が病的骨折を伴っている.多発病変であることがまず転移性腫瘍を示唆するが,個々の骨吸収の辺縁も不整(いわゆる浸潤像,permeated pattern)であり,悪性腫瘍を強く示唆する.
図2は72歳男性の右股関節正面像である.膀胱癌全摘後放射線治療中の患者である.骨盤部のX線写真で右大腿骨転子間と座骨に骨硬化像が偶然発見された(矢印).同部位に特に症状はない.骨硬化の内部は比較的均一であり,辺縁は淡く外側に消退(fading)している.典型的な硬化性骨転移の像である.
本稿は「単純X線写真の読み方・使い方」の企画の一環であるが,骨転移の診断,特にスクリーニングにおける単純X線写真の果たす役割は少ない.所見としては,先に挙げた不整形の骨吸収像や淡い骨硬化像あるいは両者の混在の像であるが,担癌患者にこのようなX線所見がみられる場合には臨床的にほぼ診断のついていることが多い.すなわち,骨転移の確認といった意味合いが強い.早期治療につながる早期診断のためには,骨シンチグラムやMRIあるいは最近ではFDG-PETが有用である.本稿では,単純X線写真の読影に際して有用と思われる骨転移の一般的知識と,知っていて役に立つと思われるいくつかのポイントを挙げる.
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