今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈副腎〉
副腎癌
宮本 幸夫
1
1東京慈恵会医科大学放射線医学
pp.260
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100970
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副腎癌は,通常5cm以上の大きさで捉えられることが多く,被膜浸潤や血管浸潤を特徴とする.超音波像にて,わずかな被膜浸潤を捉えることは困難であるが,血管浸潤に関しては,カラードプラ検査やドプラスペクトルの解析によりある程度診断可能である.良性腺腫に比して腫瘍内出血,壊死,石灰化などを伴うことも多く,診断の一助となる.広範囲に転移し,予後が悪いことはよく知られている.副腎癌の50%は機能性であり,そのうち半分はCushing's syndrome,30%は男性化,12%は女性化を伴う.逆に,女性化を伴う副腎腫瘍の3/4は癌,1/4は良性腺腫といわれており,両側の女性化乳房,libidoの減退,精巣や陰茎萎縮などを呈する.非機能性副腎癌では発熱を伴うことが多い.低血糖を伴ったという報告もある.
転移性副腎癌の多くは両側性であり,2.5cm以下で発見されることが多い.副腎髄質へ最初に転移するといわれており,欧米の報告では,原発巣の1/3は肺癌(扁平上皮癌),25~30%は乳癌とされている.その他,胃癌,大腸癌,膵癌,悪性黒色腫,腎細胞癌,甲状腺癌などからの転移が多い.
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