今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈脾〉
脾囊胞性疾患と石灰化病変
平井 都始子
1
,
大石 元
2
1奈良県立医科大学附属病院超音波診断室
2奈良県立奈良病院
pp.266
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100975
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画像診断の進歩により,偶然発見される脾囊胞性疾患は増加傾向にある.脾囊胞は真性囊胞と仮性囊胞に分けられ,前者に,類上皮囊胞,リンパ管腫(図1),血管腫などが含まれる.後者は外傷によるものが最も多く,他に梗塞,感染,膵炎などが挙げられる.類上皮囊胞や仮性囊胞は単房性,リンパ管腫は多房性である.囊胞壁に石灰化を伴う例も多いが,著しい石灰化を伴っている例は大半が仮性囊胞である(図2).CA19-9高値を呈する脾囊胞も報告されているが,ほとんどが真性囊胞で,診断の一助となるが悪性を示すものではない.稀ではあるが偽粘液腫の脾臓転移は小囊胞が蜂巣状に群をなして認められ,通常の臓器癌からの転移性脾腫瘍も液状変性をきたす場合がある.石灰化を伴う脾病変は,これらの脾囊胞性疾患のほかに,結核,非定型性好酸菌,ブルセラ菌などに起因する炎症性肉芽腫,特に孤立性結核腫が知られている.石灰化は腫瘤内部や辺縁にみられ,不整形を示すことが多い.アミロイドーシスも脾腫大に点状石灰化をきたす場合がある.
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