今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈胆囊・胆道系〉
胆囊癌
入江 健夫
1
,
宮本 幸夫
1
1東京慈恵会医科大学放射線医学
pp.230
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100940
- 有料閲覧
- 文献概要
胆囊癌の超音波所見として,大きく限局腫瘤型(図1)とびまん浸潤型(図2)に分類される.限局腫瘤型は乳頭状ないしは不整形の腫瘤を形成する.いわゆる,胆囊ポリープ様病変といわれるもの(コレステロールポリープ,腺腫,過形成ポリープ,炎症性ポリープ,癌)が含まれ,その判別にあたっては大きさによる判定基準が用いられており,特に1.5~2cm以上のものに関しては悪性病変を疑うことになる.近年では,カラードプラによるいくつかの指標から良悪の鑑別を試みる報告もみられる.びまん浸潤型では,胆囊は不自然に変形し,胆囊壁は不整に厚く内腔は不鮮明化する傾向を示す(図3).慢性胆囊炎,胆囊腺筋症などとの鑑別が重要である.慢性胆囊炎では壁肥厚は比較的均一で胆囊内腔は明瞭であることから鑑別されるが,鑑別が困難なものも多く注意が必要である.胆囊腺筋症では,肥厚した胆囊壁内にコメットエコーやRokitansky-Aschoff sinusに相当した囊胞性部分の存在を確認することで鑑別が可能であるが,胆囊腺筋症に合併した癌の同定は時に困難である.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.