今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈肝(解剖と破格)〉
肝(解剖と破格)
森 秀明
1
1杏林大学医学部第3内科
pp.199-200
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100915
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肝臓の解剖
肝は横隔膜直下の右上腹部に位置する腹部最大の臓器で,肝内を走行する脈管には肝動脈,門脈,肝静脈および胆管がある(図1).肝動脈は腹腔動脈から分岐した総肝動脈が固有肝動脈となり,さらに右・中・左の3本の肝動脈に分かれ肝内を走行する.門脈本幹は膵頭部の背側で上腸間膜静脈と脾静脈が合流し形成され,肝門部において右枝と左枝に分岐し,さらに右枝は前・後区域枝に,左枝は水平部と腹壁方向へ立ち上がる臍部に分枝する.肝に流入する血液の約3/4は門脈で,約1/4が肝動脈であり,肝動脈は門脈に比して細いため,左右の肝動脈の分枝部付近までは超音波検査にて描出可能であるが,肝内の肝動脈は通常描出されない.肝静脈は右・中・左の3本からなり,肝内門脈枝と交差するように走行し,下大静脈に流入する.肝内胆管は肝内門脈枝の分枝と併走している.
肝の区域分類としてはCouinaudの8区域分類が用いられている(図2).肝左葉(S1~S4)は外側区域と内側区域(広義),肝右葉(S5~S8)は前区域と後区域に分けられ,さらにこれらの4区域はおのおの2区域に分けられる.右葉と左葉の境界は胆囊窩と下大静脈を結ぶ仮想の線(Cantlie線)であり,解剖学的には中肝静脈がCantlie線に一致している.
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