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初期研修の病棟でのコンサルテーションの一場面
(水曜日の夕方6時,外科病棟のナースステーションを訪れた呼吸器内科医と外科の研修医の会話)
■専門医:「コンサルテーションの出ていた患者さん診に来たんだけど」
●研修医:「ありがとうございます.術前の患者が呼吸困難を訴えておりまして,対処法についてご意見をお聞きしたくてお願いしました.患者さんは,72歳の男性で……」
(今回は要領よくプレゼンを始めたが……)
■専門医:「で,喫煙歴は?」
●研修医:「聞いていません」
■専門医:「なに? じゃ,聴診所見は?」
●研修医:「えーっと入院時に聞いたはずだけど……あれっカルテに書いてないな……」
(大汗かきながら,汚い字で書きなぐられたカルテをめくりますが,見つかりません)
■専門医:「酸素飽和度か血液ガスのチェックはしたのか?」
●研修医:「いや,まだ……」
■専門医:(少しあきれ顔で)「それで,ちゃんとCOPDを鑑別したのか?」
●研修医:「いえ,腎機能は正常で,腹膜透析はしていません」
■専門医:「バカヤロウ! CAPDじゃなくてCOPDだ! 少しは考えてコンサルトしろ!」
専門医に診てくださいと,お願いすることが,コンサルテーションではないことは,これまで解説したとおりです.単なる診療依頼なら医師でなくてもできます.知識と経験のある医師が行うコンサルテーションは,ただの診療依頼とは違ったものでなければならないはずです.
この“ダメ・レジ”君も,今回は少し要領を得てプレゼンは上手にできたようでしたが,後はボロボロ…….また専門医の先生に叱られていましたね.そこで,今回は,実際にコンサルテーションは周到な準備を要することと,研修医にとって大変教育的な場面なので心して臨まなければならないことについて少し解説します.
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