日本学術会議環境保健学研究連絡委員会主催公開シンポジウム 「飲み水の危機」—安全で快適な飲み水を守るために・5(最終回)
安全な水の供給
谷口 元
1
1財団法人水道技術研究センター
pp.705-709
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902821
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はじめに
わが国の近代水道は,国民の公衆衛生と生活水準との向上を目指して,国民の理解と関係者の努力により約100年という短期間に今日の96%を超える水道高普及率を達成することができました.そして,この高普及時代を迎えて,国民の健康で文化的な生活や社会経済活動を支える基盤施設としてますます,その重要度が高まっています.
水道水源の質的な側面に目を向けると,近年ではトリハロメタン等消毒副生成物の前駆物質,トリクロロエチレン等の有機溶剤,農薬等による水道原水の汚染が広範に認められるに及んでいます.これらの問題に的確に対処するとともに,より良質な水道水を確保するため,平成4年には水道水の水質基準が大幅に拡充・強化され,その後も平成10年と平成11年6月にも一部改正が行われました.さらに平成6年には水道原水の水質保全を目的とした水源二法が新たに制定されたところです.そして,水道水源汚染の進行に対し多くの水道事業体では高度浄水処理施設の導入など,安全でおいしい水の供給に鋭意努力しています.
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