日本学術会議環境保健学研究連絡委員会主催公開シンポジウム 「飲み水の危機」—安全で快適な飲み水を守るために・4
水の浄化と遺伝子の傷害
渡辺 徹志
1
,
糠谷 東雄
2
,
寺尾 良保
3
,
大江 武
4
,
若林 敬二
5
1京都薬科大学
2静岡県立大学薬学部
3静岡県立大学環境科学研究所
4京都女子大学短期大学部
5国立がんセンター研究所
pp.625-629
発行日 2002年8月15日
Published Date 2002/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902802
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多くの先進諸国において,がん患者数は依然上昇しつづけている.わが国も例外ではなく,がんでなくなった人数は年間29万人を超え,3人に1人ががんで命を落としている.高齢者のがん患者数は今後さらに増加すると予想されている.
がんは遺伝子の病気であり,その発生には多くの遺伝子の変化が関与している.すなわち,正常細胞が,がん細胞に変化するためには多くの段階があり,多くの遺伝子変化の蓄積が必要である.言い換えれば,長い年月をかけて,われわれの身の周りにある多くの発がん因子が各々に作用し合って,がん発生に関与する数多くの遺伝子を少しずつ傷害しつづけた結果,がんが発生してくるものと考えられる.
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