特集 ヘルスプロモーションの実践・1
健康日本21の効果的な展開方法—保健所の役割
阿彦 忠之
1
1山形県村山保健所
pp.263-267
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902487
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健康政策こそ「地方主権」の時代
昨春,21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)の公表と同時に,地方分権推進一括法が施行された.これは偶然というより,とても時宜にかなった二人三脚のスタートであった.21世紀の健康なまちづくりは,「地方分権」あるいは「地方主権」の時代を迎えたといってよい.
この背景としては,国民の生活様式や価値観の多様化が予想以上に速く進み,かつ,その地域格差が極めて大きくなったことがあげられる.がんや脳卒中などの生活習慣病の発生状況についても,地域格差が目立っている.超高齢・少子化の波は日本全域に及んでいるものの,高齢化率などの市町村格差は拡大し,住民の健康感についても地域ごとに相当の違いが予想される.このような状況のなかで,地方主導の健康政策が求められるのは当然といえる.しかも,健康日本21でターゲットにしている生活習慣病は,原因が多因子性で複雑なので,国一律の政策よりも,疾病や生活習慣などの地域特性に応じて,地域ごとに重点的な対策を講じたほうが効果的である.つまり,国の政策に依存し,あるいは国の政策転換を待っていたのでは,地域住民に満足してもらえる保健サービスができず,地域の健康度を向上させることができない時代を迎えたのだと思う.
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