特集 公衆衛生の経済学
健康日本21の経済
河原 和夫
1,2
1厚生省医薬安全局血液対策課
2前厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課
pp.10-14
発行日 1999年1月15日
Published Date 1999/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902011
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現在,医療費をはじめとして国民の社会負担は増大しつつある.これを適正な水準に保ち,明るく活力ある社会を構築するためには,生活習慣病に代表される疾病を予防し,健康な状態を長く保ち続ける必要がある.最も有効な方策は平素からの積極的な健康づくりを行っていくことである.
本格的な長寿社会の到来に備えた,初めての総合的な健康づくり対策として「第1次国民健康づくり対策」が1978年(昭和53)から実施された.その内容は,第1に生涯を通じての健康づくり推進策として,妊産婦,乳幼児,家庭婦人などを対象とした健康診査に加え,老人保健事業の総合的実施を図って,生まれてから死ぬまでの生涯を通じての予防・健診体制を整備していくこと,第2に健康づくりの基盤整備として市町村保健センターなどの設置と保健婦などの人材確保を推進していくこと,第3に健康づくりの啓発・普及活動を推進していくことであった.その後,人生80年時代が現実のものとなり,単に寿命を延ばすという量的な問題に加えて,生涯をいかに有意義に生きるかという質的な問題がより重要なものとなってきた状況を踏まえ,1988年(昭和63)から「第2次国民健康づくり対策(アクティブ80ヘルスプラン)」を実施しているところである.この間,国民の平均寿命や乳児死亡率などの健康指標も国際的に最も良好な水準に達した.
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