特集 地域保健の危機管理
インフルエンザ集団感染における毒素性ショック症候群の発症
長坂 裕二
1
1三重県健康福祉部障害保健福祉課
pp.175-179
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902467
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三重県桑名保健所では,1999年2月に管内のT精神病院におけるインフルエンザの集団感染の疫学調査を経験した.調査開始は,集団発生のピークの約1カ月後であり,直接の原因究明は困難な状況であった(図).その後,1999年9月に,超過死亡の原因の一つとして,インフルエンザ感染,耐性菌による院内感染,その細菌が産生する毒素によるトキシックショック症候群(TSS;toxic shock syndrome)の三者が相互に絡み合った複合的な原因を指摘した1〜4).
一方,発生場所が精神病院であったことから,多くのマスコミ取材が殺到した.私たちは,一方的なマスコミ報道の中で,直感的に何かあるに違いないと感じた.これは,T精神病院側も同じだった.「私たちが納得できる調査をしてほしい.亡くなった患者さんのためにも再発は防ぎたい.」これは,病院長が私たちに繰り返し述べた言葉である.
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