調査報告
低出生体重児の発生・増加に関連する地域要因の解析
上田 公代
1
,
上田 厚
2
,
尾道 三一
1
1熊本大学医療技術短期大学部
2熊本大学医学部衛生学教室
pp.910-915
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902424
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わが国の母子保健統計の指標をみると,全般的な傾向として,周産期死亡率の経年的な低下と低出生体重児割合の急激な増加が示されている1).さきにわれわれは母子保健の水準を示す指標として周産期死亡と低出生体重児および両者の相関を取り上げ,熊本県におけるその年次推移を,1968〜1994年の27年間にわたって解析し,全国のそれと比較検討した2).その結果,熊本県は,三つの時期(第1期:1968〜1976年,第2期:1977〜1988年,第3期:1989〜1994年)に分類される全国とは異なつた動向が示された.それぞれの時期における周産期死亡と低出生体重児の相関は,それぞれの時期の医療,生活その他の社会・経済的因子に規定されていることが示唆された.また,第3期(1989〜1994年)の低出生体重児割合の増加の要因は,超低出生体重児(1.0 kg未満)や極低出生体重児(1.5kg未満)の出生割合の増加よりも,2.0〜2.5kg未満の比較的大きい低出生体重児の増加にあることが示唆された.中村3)はわれわれの報告2)と同様に,最近の低出生体重児の増加の主な要因は2.0〜2.5kg未満の体重群の増加であると述べ,これらの低体重群の増加に男女比,初経産比,年齢の寄与はむしろ低いことを指摘している.
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