連載 「健康日本21」と自治体・9
アルコール・1
白倉 克之
1
1国立療養所久里浜病院
pp.897-900
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902419
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
従来の慢性アルコール中毒に代わって,1964年WHOの提唱によりアルコール依存症という用語が導入されてから30有余年が経過している.当時の国内総アルコール消費量は約350万kl,飲酒者人口約2,500万人,大量飲酒者約100万人と推定されていたものが,現在では国内総アルコール消費量は約950万kl,飲酒者人口6,000万人を超え,大量飲酒者は約230〜250万人と推計されており1),いずれも2.5倍前後の急増を示し由々しき事態といえよう.なお大量飲酒者とは純アルコール量換算で1日平均150ml以上のアルコール(日本酒換算約5合)を常用する者を指し,各国の依存者数の推移を比較する目的で作成された用語であり,ほぼアルコール依存症者に該当するものと解釈されている.
アルコール問題を考える際に留意すべき事項の一つとして,確かにアルコールは合法的に購入しうる嗜好品であるが,薬理学的な立場から言及すると中枢神経系の抑制薬であり,かつ常用すると耐性増強と身体的依存を生じ,また各種臓器障害を来す可能性があるという事実である.晩酌の酩酊状態はアルコールによる急性中毒を繰り返していることに他ならない.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.