視点
かかりつけ医の地域における役割—21世紀に向けての地域医療・福祉・保健
野中 博
1,2
1東京都医師会
2博腎会野中医院
pp.530-531
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902339
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平成12年4月より介護保険制度が本格実施された.この制度には,今後多くの改善が望まれる.しかし介護保険制度が導入され,地域医療を担う「かかりつけ医」の役割がいままで以上に明確になったのも事実である.「かかりつけ医」の役割について論じたい.
西暦2020年には4人に1人が高齢者である高齢社会の到来が予測されており,さらに要介護に併せて生活援助を要する高齢者数が西暦2000年には280万人に,そして2025年には520万人になると予想されている.これらの高齢者が住み慣れた自分の家で生活することを選択するのであれば,この選択を支援することが望まれる.様々な障害や痴呆症状を抱えた高齢者を,自宅において家族のみで支えることは,家族の犠牲が多く困難と考えられるが,病院や施設での高齢者の方々の生活を見るとき,この方々の自立や尊厳が尊重されているかについて多くの疑問を感じる.介護を受ける方々が,住み慣れたわが家で最愛の家族とともに過ごすことを望まれるのであれば,自宅で暮らすことの選択は保障されるべきであり,これからの高齢社会に最も望まれる視点である.この状況のなか平成12年4月1日より介護保険制度が導入された.介護保険制度には介護を必要とする高齢者が,なるべく自立して地域で安心して暮らすことが可能な制度として構築されることが最も望まれる.しかし医療なき介護はあり得ず,医療関係者の積極的な理解と協力が不可欠である.
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