特集 大都市における地域保健サービス—その体制と戦略
Cities and Healthについて
川口 雄次
1
1WHO健康開発総合研究センター
pp.41-45
発行日 2000年1月15日
Published Date 2000/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902223
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
21世紀の課題:都市と健康
現在20世紀の終わりに立って次世紀を眺めてみると,世界が全く新しいうねりの中で,次の秩序を模索しているといえます.この先の読めない不安定な時代に,次の世紀に起こりうると確実にいえることがいくつかあります.まず第1に,地球上の全人口が60億人を超えて50年後には90億人程度に増加すること,またその巨大な人口がアジアに出現することです.第2にはこの巨大な人口構造が全くこれまでとは違い高齢化していくことです.先進国では既に起きていますが,開発途上国をも含めて65歳以上の人口の急速な増加が見込まれています.日本では21世紀の初頭にかけて,世界最速の高齢化が進んでおり,大きな社会的変化が生まれます.さらに注目すべきは世界で急速な都市化現象が見られることです.WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)の予測では,世界の都市人口が現在の50%程度から今後50年の間に約80%にまで増加し(図1),この人口の都市集中による都市の生活環境の激変がもたらされ,人々の健康が大きく影響されるようになります.これは地球環境問題とも密接に関係してきますが,都市化が進めば,人口増加とともに,生活環境が極めて悪化する可能性があり,特に人間が生活する上で最も大切な水や,大気,土壌が汚染される以外にも,自然災害の増加や温暖化現象による悪影響,さらには食糧不足などにより,人間生活の質的低下が予想されます.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.