視点
21世紀に向けての地域保健—国際保健の視点から
坂井 スオミ
1
1国連児童基金(ユニセフ)
pp.842-843
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902195
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先進工業国では病気,死亡,障害の主な原因は慢性疾患や傷害である.これに対して開発途上国では疾病負担の49%は感染症,栄養失調および周産期,母体の要因による疾病である.サハラ以南のアフリカではこれらの要因による疾病は疾病負担の66%を占め,インドでは56%を占める.合計すれば世界人口の4分の1を占めるこれらの地域はまた乳幼児死亡率も高い.生まれる子どものうち10〜20%は5歳の誕生日を迎えることなく死亡する.乳幼児死亡の主な原因は呼吸器感染症,下痢症そして麻疹などワクチンによって予防可能な疾患および周産期のコンプリケーションである.もちろんビタミン欠乏症を含む栄養失調も根底で大きくこの高い死亡率に貢献している.これらの地域はまたエイズり患率も既に非常に高いか上昇中である.また妊産婦死亡率も高く毎年1,000人の妊産婦のうち5〜10人,国によっては15人もがその妊娠が要因で死亡する.婦人の識字率は50%以下である.
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