連載 公衆衛生へのメッセージ—福祉の現場から
昨今の高齢者保健福祉施策の展開をめぐって—大阪府の現場から考えること−1999年夏
出口 安裕
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1大阪府福祉部高齢介護室
pp.820-821
発行日 1999年11月15日
Published Date 1999/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902189
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保健・医療・福祉の連携が言われて久しい.福祉施策を展開する行政の福祉部門,そして実際の福祉現場においても,種々の面で従来の福祉施策だけでの運営は困難となってきており,予防的な観点をもつ保健施策や,医療施策と密接に関連性をもち,また一体となった福祉事業の展開が計られている.来年4月からの介護保険制度の導入を踏まえ,高齢者保健福祉計画の新ゴールドプラン,また老人保健法に基づくヘルス事業の第3次保健事業計画の最終年度である今年度は,福祉施策,特に高齢者(老人)福祉に携わる分野においては,激動の1年である.
介護保険制度は,高齢者の介護という福祉の問題を社会保障制度の変革として,従来の措置制度から社会保険方式を導入した契約制度に改革するもので,保健・医療・福祉分野においては,昭和36年の国民皆保険(健康保険)制度の導入以来の大変革といえる.国,都道府県,市町村は,その円滑な制度導入に向けて,準備に忙しい毎日であるが,そもそも介護保険制度は,欧米先進国を上回る急速なスピードで進行するわが国の高齢化と,要援護老人の増加とその介護の問題に対応するため,従来の老人福祉や老人医療での対応の不十分な点や今後生じうる運営上の問題点を踏まえて,介護を社会全体として支える新たな制度での対応を構築すべく,高齢者介護の問題に対して導入されたひとつの対応方法である.
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