連載 自治体の保健福祉活動における理学療法士の役割・11
保健所における理学療法士の役割
森倉 三男
1
1千代田区麹町保健所保健サービス課
pp.130-133
発行日 1999年2月15日
Published Date 1999/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902033
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新しくできた介護保険制度も使って,その人のやり方と内容で生涯を生き尽くす権利を保障する地域の仕組みづくりを国中で模索している.それは,心身のみならず社会的にも健康で,その人の望む場所で人間らしい生活実態が確保されたものでなければならない.介護問題が高齢者や障害者を前面に立てながらも,すべての人にかかわる課題として提起されている.課題は一人ひとりの住民のもとにおろされつつあり,主体的な迫り方を求めている.介護保険制度が成立するに当たって大きな力になったのは,国民の9割が公的介護制度に期待を寄せていたことである.実際的に制度が動き出す本年10月は目前に迫っている.しかし,情報提供方法の不適切と内容の不十分さのため,この変化に見合った住民の理解の遅れが続き,必要な準備状態が整わないままその時期を迎える危険をはらんでいるように見える.介護保険制度が国民に問いかけ,理解を促し,かつその成功的出発の鍵になるのは介護という共同の仕事の担い方・引き受け方について平らな理解が普及することではないだろうか.その度合い,また理解を促すためにこれまで行われた施策や活動の真実さと方法的妥当性は,当事者にどれだけ安心を運んだかでひとつ評価できる面があるだろう.
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