特集 計画づくりの理念と方法
計画づくりの手法—保健計画推進に必要な要素からみた計画づくり手法について
福永 一郎
1
,
實成 文彦
2
1香川県坂出保健所
2香川医科大学人間環境医学講座衛生・公衆衛生学
pp.706-714
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901965
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計画的な保健活動の実施は,包括的保健の概念1)からみて重要な課題である.保健計画は,その具現化として,地域での保健活動の目的,具体的な目標および評価指標,活動方針,活動のやり方の意思決定を行うものである.保健計画を有効なものとするには,保健活動に携わる住民組織,地域の専門家集団,行政の各代表者・担当者が,場を共有して,地域の健康状態の理想を描き,現状を把握・検証し,解決すべき課題(あるいは目標と現状との格差)を見いだして,その対策を話し合い,役割分担を行って計画を立て,実行し,その実施結果と実施過程を評価するというplando-seeに基づいた過程が推進されることが望ましい.
さて,最近,従来行われてきた保健計画手法が「課題解決型(ないしは事象解決型)」と位置づけられ,まず目標を設定することから始める保健計画手法を「地域づくり型(本稿では,便宜上目標設定型と称することとする)」としてその相違が論じられることが多い2).筆者らに与えられたテーマは保健計画の手法であるが,手法の詳細については成書に譲ることとし,保健計画推進過程についての筆者らの経験と意見を述べ,そこからおのおのの計画づくりの手法がもつ特徴や課題について解説してみたいと思う.
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