特集 計画づくりの理念と方法
計画づくりの概念と役割
宮城島 一明
1
,
中原 俊隆
1
1京都大学大学院医学研究科社会医学系社会予防医学講座公衆衛生学
pp.684-690
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901961
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計画の概念とその変遷
わが国に関する限り,保健・医療・福祉分野の諸施策・サービスは主として行政府のイニシアティヴによって立案・実施されている.したがって,保健・医療・福祉を対象とする計画は,多くの場合,行政計画の一種であるといって差し支えない.行政計画の法律学的検討は行政学の成書に譲るが1),ここでは便宜的に行政計画を「根拠法令に基づき,あるいは直接の法令の定めによらずに,行政府がその権能の範囲において実施する一連の事業あるいは判断の集合を体系的に記述したもの」と定義するとしよう.
行政計画を多用する典型的な例は,社会主義経済体制において顕著にみられ,計画経済の下での行政の枢要的要素であった.一方,自由主義経済体制においても,特定の事業体による業務独占が行われている分野において,あるいは,自由な経済活動を適度な規制によって望ましい方向に誘導する目的で,様々な計画的手法が幅広く用いられている.
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