特集 計画の時代—保健と福祉のリンケージ
計画づくりのガイドライン
多田羅 浩三
1
Kozo TATARA
1
1大阪大学医学部公衆衛生学
pp.481-484
発行日 1991年7月15日
Published Date 1991/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900381
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◆計画の理念—現実からの出発
人間の健康は個々の人間の固有の心身の状態のなかに存在するものであり,それゆえ人間の健康状態は「健康か,不健康か」という二者択一のものではなく,「健康から不健康へ」と連続した状態にあるものである.
日本人の平均寿命は,平成元年度において男が75.91歳,女が81.77歳であり,わが国はいまや世界有数の長寿国となっている.このような長寿社会は,わが国の優れた保健,医療,福祉の伝統のなかで達成されたものであり,われわれはその成果に限りない誇りを持つことができると思う.しかし長寿社会であればあるほど,その社会は多様で固有な健康状態の人間を多数包摂しており,それだけに保健,医療,福祉の担う役割はますます大きなものとならざるを得ないのである.
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