特集 公衆衛生の現地訓練
保健所実習の重要性
小倉 敬一
1
1千葉県船橋保健所
pp.540-543
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901929
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現在,保健所では,医学生をはじめ,保健婦学生,看護学生,栄養学校生,各種福祉関係学生など,将来,保健・医療・福祉を担う多くの学生の実習を引き受けている.
実習終了後に必ず感想文ないしはレポートを提出してもらっているが,それを読ませてもらうと,必ずといっていいほど書かれていることがある.それは,「実習にいって,保健所が住民の健康と生活を守る上で実に幅広い活動をしていることを初めて知りました」という一文である.なかには,「保健所は野良犬を捕まえるところだと思っていたが……」という書き出しで始まる医学生の感想文もあり,思わずこちらの顔色の変わるものもあるが,同じ意味のことが続いて書かれており,実に複雑な思いをすることもある.これを,実習の意義があったと素直に喜んでよいものか,日ごろの私どもの知らせる努力が足らないことを反省すべきか,いや保健所は空気のような存在だからこれでよいのだと割り切ってすませるのか,感想文が届くたびに実習関係者一同で,その評価をめぐって同じ議論が繰り返されているのが,多くの保健所の実情ではないだろうか.
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