特集 海外の公衆衛生専門教育—日本と比較して
中国における公衆衛生専門教育
趙 林
1
1北京蔚林経済管理学院
pp.212-217
発行日 1998年3月15日
Published Date 1998/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901856
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中国の実力者鄧小平が提唱した「改革,開放」政策が実施された1978年以降,中国の人々の考え方は大いに変わってきた.それは次の二つの点からいえる.一つは,人々は政治から経済効果または生活水準に大変な関心を持つようになった.二つは,教育熱の広がりである.あの文化大革命に終止符を打った1976年の翌年から,中国の大学は10年ぶりに正式の学生募集を始め,12月全国一斉に,社会人と高校卒業生を対象に入学統一試験を行った.この年の旧正月を前に,中国文化大革命以来,待望の大学生が誕生したのである.この突如の動きは全国民の心を大きく揺り動かした.「勉強すれば大学に入れる」ということが知らされたのである.親も子どもも教育問題への関心が一挙に高まった.当初はほとんど国立か公立大学しかなく,学校数も学生の募集数も極めて少ないため,入学競争率は想像以上に厳しかった.
医科大学への進学も容易ではなかった.中国の大学は日本と違って,ほとんど専門ごとに分かれている.例えば,日本の東京大学に相当する北京大学は比較的数多い学部を持つ総合大学であるが,それでも文学部,経済学部,工学部,理学部などが中心となっており,医学部は設置されていない.中国の医科大学は昔からほかの専門分野とは別に独立して建てられている.そういう特別のところもあるためか,人々は医学に偉大さを感じているようだ.医者は中国でも昔から尊敬される職業である.
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