特集 成人病から生活習慣病へ
「生活習慣病」でよいのか—公衆衛生の研究者から
高橋 恭子
1
,
斎藤 和雄
1
1北海道大学医学部衛生学教室
pp.111-113
発行日 1998年2月15日
Published Date 1998/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901836
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長期にわたって用いられてきた成人病という名称は,生活習慣病になると,その名称から受けるイメージにはいろいろな問題が生じると思われる.そもそも成人病という用語は欧米にはなく,わが国独特のものであった.成人病とは,一般に中高年期以降に多い慢性の非感染性疾患を総称した名称で,三大死因である悪性新生物,心疾患,脳血管疾患は三大成人病と呼ばれてきたことは周知のとおりである.成人病とされてきた疾患群には,この三大成人病の他に糖尿病,高血圧症,動脈硬化症,高脂血症など原因も治療法も多様な疾患が含まれており,これらの疾患が生活習慣病と総称されることになり,様々な影響を及ぼすことが考えられる.したがって,この改定が妥当であるかどうかの命題を検討するために成人病とその要因について述べ,考えてみたい.
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