特集 健康危機管理
健康危機管理の運営体制をどう構築するか:川崎市の場合
五十嵐 京子
1
,
青山 浩一
1
,
坂元 昇
1
1川崎市健康福祉局保健医療部健康増進課
pp.172-176
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100252
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グローバリゼーションに伴い,人々の活動の場が世界各地に広がってきている.観光のみならず,ビジネスで海外に出向くなど,国際交流の場面が多くなり,今まで国内では見られなかった様々な感染症が,人や物資等を介してわが国に持ち込まれる可能性が増大してきた.それにより,SARS,鳥インフルエンザ等による海外で発生した新興感染症の波及,人為的には生物・化学テロによる被害が想定される.加えて,国内においても,地震・風水害等の自然災害の発生や,食中毒等の集団感染等,健康を脅かされる場面が多く想定されてきているところである.
また,人口の都市への集中化,少子・高齢化,高度情報化等,社会環境の変化や価値観の多様化によって,危機の現れ方も様々な形態をとり変化してきている.さらに,児童虐待や高齢者虐待のように表面化することが少なかった事例も人権問題として,そして中皮腫や肺がんの発症原因であるアスベストなどの環境問題等,新たな健康被害が社会問題として顕在化するなど,地域住民の生命,健康不安を脅かす恐れのある事態が相次いでいる.
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