特別寄稿
地域保健と医療介入の妥当性を基礎づけるもの
高原 亮治
1
1厚生省保健医療局地域保健健康増進栄養課
pp.652-658
発行日 1997年9月15日
Published Date 1997/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901757
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財政危機や慢性不況を契機に,わが国の戦後復興から高度成長を支えてきた社会的,経済的わく組みの見直しが進められている.地域保健や医療の分野では,行政改革や社会保障改革が身近なものとして進行しており,これへの対応が,緊急の課題となっている.この改革は,国内的には,金融改革などと同様の諸改革と一連のものであり,国際的には,先進諸国に共通する保健医療改革(health care reform)の一環である注1).
国際的,国内的改革の波とそれをもたらせた情勢を正面から受け止め,地域保健や医療を現代社会においてさらに推進するためには,保健・医療・福祉の「仲間うち」だけで通じる諸概念を前提としたものではなく,より普遍的な基礎をもつ,国民に分かりやすいaccountabilityを獲得する必要があると思われる.世の中の流れは事前規制(予防)から事後規制(処罰)へと変わり,いわゆる規制緩和が強力に推進されている.また,公的主体の介入は,できるだけ少なくすべき,というのが行政改革である.
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