視点
産業医の専門性とは
横山 英世
1
1日本大学医学部公衆衛生学
pp.298-299
発行日 1997年5月15日
Published Date 1997/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901682
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産業医の「専門性」が求められる背景
労働省によれば,近年,高齢化の進展などに伴い働く人の健康を保持増進する上でいくつかの新たな課題が生じている.作業関連疾患に象徴される脳・心臓疾患につながる有所見者の増加があり,いわゆる「過労死」が社会問題化する一方で,産業態様の変化により,ストレスを抱く者が増えているなど,働く人々の健康の確保を困難にする状況が認められることから,これに対応した対策を積極的に講じることが重要となっている1,2).このような状況を背景として平成8年の10月に労働安全衛生法が改正施行され,「産業医(法制度上の)」の専門性の確保が明文化されたため「産業医」の要件が話題になっている.
これらの産業保健における今日の問題意識の高まりを予見したかのように,日本医師会,産業衛生学会,労働省などがそれぞれにまた三者一体となって時代の要請に応えるために着々と産業医学の専門家の養成に取り組んできた.
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