特集 コミュニティヘルス・アプローチの昨日,今日,明日
日本人の健康をどうするか—コミュニティカウンセリングアプローチへ
宗像 恒次
1
1筑波大学体育科学系健康管理学・健康カウンセリング
pp.173-178
発行日 1997年3月15日
Published Date 1997/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901655
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公衆衛生の歴史から学ぶことは,上下水道や医療施設など衛生環境の整備されない集落形成や大量かつ急激な人々の地域移動は様々な伝染病をもたらしやすい.そしてその疫病による人口が半減するような悲惨な死は,人々をして衛生的で管理的な生活環境を築かせてきたことである.しかし他方,衛生的で管理的な生活環境のなかで,ストレス関連疾患,いわゆるストレス病は蔓延し,いまやそれはとどまるところを知らない.遺伝病以外でストレスに関連しない疾病はないだろう.心身疾患,精神疾患,慢性疾患など,ストレスの関与する割合の高い疾病が日本をはじめ先進諸国に蔓延している.近代以降,疾病に対し通常の予防・治療法(教育,指導,相談,対症療法など)がこれほど無力な実態を示す時代もなかったろう.
本稿では,これまでの手法ではなぜ疾病予防,健康増進,自己治療が効果的でないのか,もしできるとすればどのような方法なのか,そしてそれを踏まえこれからの日本人の健康づくりはどのような方法が必要なのかについて述べてみる.
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