特集 病原性大腸菌O157の脅威
保健所における新しい感染予防対策および食品保健体制
發坂 耕治
1
1岡山県邑久地域保健所
pp.101-106
発行日 1997年2月15日
Published Date 1997/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901640
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岡山県邑久町において,学校給食を原因とする腸管出血性大腸菌O157(以下O157と略す)による集団感染が発生した.概要は表1のとおりである.O157は,潜伏期が比較的長いこと,症状は腹痛や血便を呈するものから無症状のものまで幅広いこと,溶血性尿毒症症候群(haemolytic uraemic syndrome;HUS)などの合併症を起こすこと,人から人への2次感染を起こすことなどから予防対策を進める上で多くの課題がある.とくに集団発生は食中毒として起きたが食中毒としての対応だけではなく,迅速な感染防止対策を学校など関係機関とともにすすめる必要がある.今回の事件を総括し衛生行政上の課題を検討するとともに,O157の流行を踏まえた新しい感染予防対策と食品保健体制を再検討する必要がある.
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