視点
適切医療技術の研究開発は望ましい国際保健協力である
ソムアッツ・ウォンコムトオン
1
SOM-ARCH WONGKHOMTHONG
1
1東京大学医学部国際地域保健学
pp.2-3
発行日 1997年1月15日
Published Date 1997/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901618
- 有料閲覧
- 文献概要
開発途上国においては,戦後約50年間のいろいろな国際機関(世界保健機関,世界銀行,アジア開発銀行,日本海外協力事業団など)の活発な援助にもかかわらず,保健,経済,社会などの事情は満足すべき状態まで改善していない.開発援助委員会(Development Assistance Committee:DAC)の報告1)によると,低所得国(low-income countries:LICs)は1992年に1人当たりGNPが675ドル以下の国は65カ国あり,低中所得国(Lower middle-income countries:LMICs)は1人当たりGNPが676ドル以上2,696ドル未満の国は61カ国もある.健康状態においては,世界保健機関(WHO)の「世界保健報告1996」によれば1995年の5歳未満の乳幼児死亡率は,先進国では8.5であったのに対し,開発途上国では90.6であった.後開発途上国では,先進国の18倍の155.5にのぼっている2).いくつかの国の乳幼児死亡率と平均寿命,GNPとの対比などは表1に示されているとおりである3).
開発途上国は,様々な文化,習慣などを持っているが,一般に共通した問題に直面している.たいていの国で広く蔓延している病気は,生物的要因,不衛生な環境,カロリー摂取の不足などにより起こる病気である.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.