調査報告
大阪空港帰国者にみられた海外旅行者下痢症の現状
森 英人
1
,
松本 泰和
2
,
大野 良之
3
,
本田 武司
4
1神戸検疫所輸入食品検疫検査センター微生物課
2名古屋検疫所
3名古屋大学医学部予防医学教室
4大阪大学微生物病研究所細菌感染部門
pp.886-890
発行日 1996年12月15日
Published Date 1996/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901612
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日本人海外旅行者の約半数は,アジア地域への渡航である1).この地域での下痢症罹患は,欧州,北米,豪州への旅行者と比べ極めて多く2,3),とくに南および東南アジアでの下痢症罹患が多い4〜6).しかし,この現状を疫学的に妥当な資料に基づいて検討した例は少ない.過去の検討例4)では,対象集団数(ばく露人口:海外旅行者数)を出入国管理年報1)で把握している.この方法では,複数国渡航の場合でも渡航国は1カ国とされているので,国別旅行者数が過少に計上されるという欠点がある.この欠点を解消するため,今回は帰国検疫時に回収される質問票を使用した.この方法によれば,複数国渡航の場合でも正しく渡航国別に旅行者数(分母)が把握できる.本報告は,こうした方法により旅行者下痢症を検討したもので,本邦で最初の例と考える.
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