特集 交通事故の予防医学
交通事故の現状と対策
中村 紀夫
1,2
1東京慈恵会医科大学脳神経外科
2日本交通科学協議会
pp.450-454
発行日 1996年7月15日
Published Date 1996/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901509
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本稿においては誌面の制約上路上の事故についてのみ触れる.
路上における交通事故は自動車文明に密着したマイナス面の落とし子といってよいであろうが,それがあまりにも日常的であるために,時として認識が薄れてしまいがちである.自動車の歴史は1886年4サイクルオートエンジンがダイムラーによって世に送り出されて以来といわれているが,小野氏1)が通覧した米国の資料によれば,米国において1994年までに発生した自動車事故による死亡者は3,040,000名にのぼり,この数は1775年以後すなわち過去220年間に米国で経験した戦没者1,175,000名のほぼ3倍であり,傷害者にいたってはそれぞれ300,000,000対1,450,000と200倍にもなるという.この事実は,交通事故に対してわれわれがどのように対応しどのような成果を上げることができたかを,問うているのではなかろうか?
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