特集 生活をささえる防災計画—阪神・淡路大震災の教訓
災害に強い住まいづくり
大西 一嘉
1
1神戸大学工学部建設学科
pp.250-253
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901457
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今回の被害の特徴は,第1に,住宅倒壊による被害の大量性である.約20万棟の建物が全半壊し,互礫と化した建物の下では5,502人の死者が発生した.連休明けの午前5時46分という時刻からみてほとんどの人は就寝中で,住宅倒壊が人的被害に直結したと考えてよい.第2に,手つかずの大規模延焼火災の発生がある.地震直後の数分間に神戸市だけで60件の同時多発火災が発生し,木造密集市街地では有効な延焼阻止線もなく100haを焼き尽くした.第3に,ライフライン停止による住宅難民の大量発生がある.電気,ガス,水道などライフラインが大きな被害を受け市民生活に深刻な影響を与えた.その結果,被災が軽度な住宅でも生活機能障害から多くの人々が疎開や寄留を余儀なくされ,行き場のない被災者は避難所へ殺到し避難生活は混乱を極めた.
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