保健行政スコープ
職場における喫煙問題
三宅 智
1
1労働省労働基準局労働安全衛生部労働衛生課
pp.150-151
発行日 1995年2月15日
Published Date 1995/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901211
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1.職場での喫煙対策
喫煙が健康に与える悪影響については多くの事実が明らかにされているが,他の先進諸国に比べわが国での喫煙対策,喫煙に対する問題意識はかなり遅れをとっているといえよう.欧米においては,喫煙に対しての一般の眼には厳しいものがあり,職場や公の場所での喫煙は,はばかられる雰囲気があり,また,法律で規制されている国も多い.また,たばこの宣伝広告に対しても厳しい制限がかけられているのが一般であり,テレビでたばこのコマーシャルを見る機会はまずないといえよう.わが国における喫煙対策への政策的な取組みとしては,すでに厚生省において昭和62年に「たばこ白書」が作られ,平成5年にその改訂版が出された.労働省においても昭和63年に「職場と喫煙」(職場における喫煙に関する懇談会報告書)がまとめられている.こうした動きの中で,わが国においても,喫煙問題について,受動喫煙や青少年の喫煙の問題に対しての認識が高まってきており,駅構内,列車や航空機内での分煙,禁煙が進んできており,また,テレビのコマーシャルでも放送時間の自主規制がとられるようになってきている,しかし,喫煙率は全体的に減少してきているとはいえ,諸先進国に比べて男性の喫煙率はかなり高い状態にあり,若い女性の喫煙率の増加傾向も危惧されている.
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