特集2 喫煙と看護
喫煙行動を取り巻く諸問題
千葉 康則
1
1法政大学
pp.422-427
発行日 1981年4月1日
Published Date 1981/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922763
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はじめに
近年,喫煙に関する論議が極めて活発であり,時にはいささか過熱気味と思われるほどである.その多くの論議は喫煙否定についてのものであり,周知のごとく,その論拠は喫煙の有害性についての医学的知見である.従って,医学界に近い看護界が,この問題をどのようにとらえるかは極めて興味のある問題である。看護学または看護職の専門化に関する論議の中で,医学の欠点または不完全性が指摘されて,それとのかかわりで看護の主体的役割が論じられることが多いからである.私もかつて看護学に関する試論を提起したことがあった(“看護=人間科学論”医学書院刊)が,その中軸にもこの問題がすえられていた.
そこで,この度の喫煙問題についても,医学的知見を看護界が無批判に受け入れるとは思わないが,どのような形で問題にされるかに興味が持たれる.特に喫煙についての医学的知見には,医学の長所や短所が比較的鮮明に浮き彫りにされているものだけに,なおさらである.
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