特集 公衆衛生活動の国際的な展開
韓国における労働衛生活動と日本の協力
久永 直見
1
1韓国産業安全公団産業保健研究院日本諮問官室
pp.559-563
発行日 1994年8月15日
Published Date 1994/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901091
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◆はじめに
韓国では1962年の第一次経済開発5カ年計画の開始以来,急速な工業化が進行したが,他方で労働災害や職業病の発生が大きな問題となった.それへの対応の一環として,韓国政府は,外国の進んだ技術や経験をも活用することとし,ドイツの協力による労働災害予防のための組織体制・法令・技術基準の整備,安全専門家に対する教育訓練,作業環境改善に重点をおいたプロジェクト(1987-94),日本の協力による炭鉱坑内作業環境改善プロジェクト(1989-93)などを進めてきた.その上で韓国政府は,1990年に,日本政府に対し職業病予防のためのプロジェクト方式技術協力を要請した.これを受けて国際協力事業団は韓国側と内容の具体化を検討し,1992年から5カ年計画で勤労者職業病予防事業を実施することを決定した.この事業は,韓国産業安全公団産業保健研究院,大韓産業保健協会,順天郷大学を対象として,労働衛生技術,最新の知見・技術情報の紹介などを日本からの専門家の派遣,機材の供与,韓国からの研修員の受け入れを通じて行うものである.筆者は,1993年8月より1年の予定で国際協力事業団から韓国に派遣され,労働衛生一般を担当して技術協力に携わってきた.
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