特集 公衆衛生活動の国際的な展開
国際協力と公衆衛生
蟻田 功
1
1財団法人国際保健医療交流センター
pp.531-535
発行日 1994年8月15日
Published Date 1994/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901084
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◆はじめに
最近,公衆衛生(public health)という言葉が使われなくなって来た.厚生省のかつての公衆衛生局は保健医療局という.アメリカは,現在保健省を“Health and Human Services”とよぶ.しかし,世界銀行1993年報“健康への投資”は,公衆衛生(public health)という言葉を大きな柱として保っており,アメリカのジョンズ・ホプキンス大学や,ハーバード大学等の大学院は“School of Public Health”である.
公衆衛生の基本は予防医学である.予防は治療よりその費用効果が高く,国際協力,特に第3世界の保健問題は,予防を主眼とすべきである.1000床規模の病院建設を2つ行う費用で,ポリオは全世界から根絶されるであろう.
日本は,この半世紀,飛躍的な保健指数の改善を示した(表1).
この改善は,日本のライフ・スタイルーたとえば食生活,母親の保育教育などが,欧米諸国に比して健康的であり,すなわち予防医学的な要素によりこのような差ができたことを示している.アメリカの臓器移殖は,年間1万5千件を越し,日本とは問題にならぬが,アメリカ人の寿命は短い.
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