研究ノート
In vitroで細菌および人癌細胞の増殖を阻害する清酒に含まれる因子についての考察
滝澤 行雄
1
,
伊藤 玲悦
2
,
吉田 有子
3
,
工藤 行蔵
2
1秋田大学医学部公衆衛生学教室
2秋田大学医学部微生物学教室
3秋田大学鉱山学部電気工学科学教室
pp.437-440
発行日 1994年6月15日
Published Date 1994/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901060
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●はじめに
近年,問題視されている種々な環境要因のうち,発癌のメカニズムや発癌の疫学的研究から突然変異作用をもつ物質の存在1)が報告されて以来,環境衛生問題と共に食品に含まれる変異原にも関心が寄せられている.種々な変異原の検索はRec-assay2)やAmes試験3)で行われ,食品には添加物以外に加工行程で複製されるニトロソアミン系物質4)や,ヘテロサイクリックアミン系物質5)などの変異原が含まれることが明らかにされている.それらと共に,酸化剤や還元剤などの突然変異抑制物質6)や,変異原によるDNAの突然変異誘発頻度を低下させる抗突然変異物質7)も食品に検出されている.また,特定の食品の摂取とある疾患との因果関係について多くの疫学報告があり,例えば清酒多飲地域住民の肝硬変死亡率は,清酒以外の酒類多飲地域住民のそれと比べ有意に低いと報告8)されている.
以上の観点から,食品に同様な作用を有する物質を検討することはすこぶる意義が大きいと考えられる.よって我々は,清酒に含まれる同様な活性をもつ因子について検討した.
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