特集 精神障害者の社会復帰
保健統計からみた精神障害者の社会復帰
藤田 利治
1
1国立公衆衛生院疫学部
pp.8-12
発行日 1994年1月15日
Published Date 1994/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900949
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■はじめに
精神衛生法が22年ぶりに大幅に改正され,精神障害者の社会復帰の推進と人権擁護の促進を柱とした精神保健法が1988年7月から施行されている.病院中心主義から地域ケア中心への移行は,精神保健・医療サービスの趨勢といえる.精神疾患に関する保健統計を用いたこれまでの検討は公刊された統計資料に基づく分析1-3)であり,入院精神医療にまつわる在院患者率および平均在院日数の問題が指摘されてきた.しかしながら,精神疾患に関わる保健統計は,過去において指標の不適切な解釈や扱いがなされたこともあり,地域精神保健を推進するための十分な科学的活用が図られているとはいえない面がある.本稿では,世界的にも高い評価を得ている英国イングランドの精神保健との比較も交えて,社会復帰とは表裏の関係にある精神疾患での在院に関わる保健統計上の経年的動向について述べる.
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