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MRSA—その現状と地域とのかかわり
村田 三紗子
1
Misako MURATA
1
1東京都立墨東病院感染症科
pp.128-131
発行日 1993年2月15日
Published Date 1993/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900748
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MRSAはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌Methicillin-resistant Staphylococcus aureusの略称である.MRSAは多くの抗菌薬に耐性をもつことから,手術後や重篤な基礎疾患のある抵抗力の弱い患者にひとたび感染症を発症させると治療が困難となり,不幸な転帰をとることもあって,社会的な関心を集めている.患者の治療を使命としている医療従事者にとって,MRSA院内感染予防は最も重要かつ困難な課題のひとつである.
最近,MRSAを保菌したまま退院し,在宅医療や介護を受ける事例が増加しつつあるとの指摘がある.高齢者の増加に伴い在宅など地域での医療や介護の重要性が高まりつつある現在,地域におけるMRSAの伝播防止は新たな課題となった.MRSAはむやみに恐れる必要はないが,決してあなどることのできない厄介な相手である.MRSA対策には医療機関,地域保健医療,福祉施設など医療・介護にかかわるすべての人々の正しい理解に基づいた連携と協力が必要である.
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