調査報告
造船産業(大企業)勤務者の傷病休業者率の推移
菊川 縫子
1
,
多田羅 浩三
1
Nuiko KIKUKAWA
1
,
Kozo TATARA
1
1大阪大学医学部公衆術生学教室
pp.797-802
発行日 1992年11月15日
Published Date 1992/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900691
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●はじめに
H企業は造船産業が主力の企業である.わが国の造船生産量が世界のトップを保持していた頃の昭和46年度は従業員数24,394人を数えたが,2度のオイルショックによって極度の造船不況を迎えた.第一次,第二次の2度にわたり構造改革が行われ,従業員数は第一次(昭和52〜54年)の時点で約5千人を削減され,第二次(昭和60〜62年)でさらに1万人を減らした.
このような激動期のなかにおけるH企業を対象に,昭和46年度から昭和63年度までの18年間について,勤務者の傷病休業件数の多かった主要な上位6傷病による傷病休業状態の推移を中心に分析を行った.
一時代前までは,結核予防が国民衛生の主流を占めていたが,近年は,勤務者の年齢構成の変化に伴う成人病の増加がみられ,このような状況に対応するため昭和52年,昭和63年「労働安全衛生法」の改正が行われた.前者では,職業がんの問題がクローズアップされ,化学物質の有害性調査を中心とする改正が行われ,後者では労働災害の防止,労働者の健康の保持増進のための改正が行われた.このような現状の中で企業は近年,とくに勤務者の疾病予防,健康の保持増進のたあの施策の推進に力を入れている.
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