特集 性感染症(Sexually Transmitted Diseases)
売春防止法と東京都における性病健診
中村 清純
1
Kiyosumi NAKAMURA
1
1東京都衛生局医療福祉部結核感染症課
pp.619-621
発行日 1992年9月15日
Published Date 1992/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900644
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〔はじめに〕
世界で最も古代から存在してきた職業といわれている売春は,不特定多数の相手と性交渉をもつことから,性感染症の感染媒体として重要な要素の一つである.売春行為に関連する性感染症対策上の規定は,昭和初期制定の花柳病予防法に盛り込まれ,さらに第二次大戦後は性病予防法に引き継がれて現在に至っている.また,売春防止法(以後,売防法と略)が制定されたことは,当時の性感染症対策上も画期的なことといってよかった.
東京都内において検挙された売春婦(いわゆる街娼)数は,売防法施行以来,ほぼ一貫して減少してきたが,日本の急激な経済発展と国際化により,ここ1,2年の外国人売春婦の検挙数が急増している.
一方,組織的売春行為については,売防法等の法の網をかいくぐって存続し,30年間にむしろ多様な形態へと広がりを見せている.風俗産業の中でもかなりの部分を占めていると推測され,憂慮すべき問題である.
本稿では特に,東京都内において急増し,社会問題化しつつある街娼と性病対策の現状について,売防法と性病予防法とを比較しながら述べてみたい.
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