特集 性病予防
アンケート
売春禁止に際して公衆衛生関係者に望む
売春防止施行に際し公衆衛生関係者に望むもの,他
大野 宰
1
1愛知県立中村病院
pp.198-204
発行日 1958年4月15日
Published Date 1958/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201952
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まえがき
売春防止法に就いては賛否両論種々なる意見があつたにせよ愈々本年4月1日より完全に効力が発生した。洋の東西を問わず売春問題と性病問題とは切つても切れない関係にありながら,今度ばかりは性病問題が完全に置いて行きぼりを喰わされたという感が深い。これには公衆衛生関係者特にこれ迄性病予防の面に努力を払つて来られた方々が等しく不安の念を抱かれたことと思う。その主な原因は戦後余りにも種々雑多な型で而も夥だしく存在した売春婦の内,公衆衛生の面から見て人員管理の面が比較的容易であつた所謂赤線のみが最も大きな対象となつた処にあるようである。我が国から集団的な売春業態が消滅したことは確かに一歩前進である。然しながらそれでもなお売春婦の絶対数は減少せず,反対に性病が増加したとするなればこれは大きな社会問題となる。
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