特集 対がん総合戦略の発展
対がん総合戦略の動向
和田 武雄
1,2
Takeo WADA
1,2
1札幌医科大学
2がん対策専門家会議
pp.520-523
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900392
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ご存じのように,この戦略と名づけられるプロジェクトは,いろいろな経緯があって昭和59年度以来実施されてきたユニークな国策のひとつである.その胎動時に学術専門委員の一人に加えられていた筆者は,故山村雄一前議長の構想に耳を傾けたが,おおむね,今日見直しをしても軌道修正の必要性を認めない,山村構想ともいうべき研究の主軸が設定され,この6年間に予期以上の成果をもたらした.と申し上げるのは,その後しばらくこのプロジェクトを間接的に観望する立場にいた筆者が,山村議長の逝去でそのあとを負う要請を受けるにいたり,そのために本稿を求められることにもなったからであり,またこの全貌の推移を見通しても,当初の重点課題の取り上げ方を論じていた昭和58年当時と今日との間には,6つの分野を分けたそれぞれの流れがよどみなく流れて,それぞれに多くの結実成果をもたらし続けているからである.
それにしても,今日の10年は短い.このプロジェクトにしても,大体3分の2の時間を経過した段階にある.峠を越しても休息を許されるというわけにいかない研究の世界であるから,さらに先の高みへ向けて踏破の戦術を練らなければならない.
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