公衆衛生人国記
香川県—医師会・衛生行政関係者を中心に
香川 清
1
Kiyoshi KAGAWA
1
1香川県坂出保健所
pp.54-56
発行日 1991年1月15日
Published Date 1991/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900265
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はじめに
香川県は昭和55年に香川医科大学が開講するまで無医大県であったので,戦後の公衆衛生活動はもっぱら保健衛生関係の県職員が,医師会等関係団体の協力を得ながら進めてきた.筆者は昭和22年以来,県職員の医師として琴平保健所を皮切りに現在まで公衆衛生畑に従事してきたので,県内の先輩同僚の方々の活動状況を時代に沿ってご紹介しよう.
香川県は昔,“玉藻よし”と歌われた讃岐の国一国で,四国の北東部の一隅を占める全国一面積の小さな県であるが,古くから四国の玄関口として宇野・高松間に国鉄連絡船があり,県都高松市には国の出先機関や企業の四国支店が多く集まっている.昭和63年には鉄道併用の瀬戸大橋が児島・坂出間に開通し,本土と地続きになった.本県は美しい瀬戸内海に臨み,屋島の源平古戦場,栗林公園,金刀比羅宮,オリーブと「二十四の瞳」の小豆島等多くの観光地を持ち,気候温暖,降雨や台風は少なく,平坦地が多く交通は便利である.すなわち一般に住みやすい県であり,昭和55年の統計によると,平均寿命は男女ともに全国で上から5位以内にあるが,若者は京阪神あるいは東京に修学や就職し,老人人口比は14.4%と高い.
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