目でみる保健衛生データ
戦後の感染症対策小史(1)
大橋 誠
1
Makoto OHASHI
1
1東京都立衛生研究所
pp.706-708
発行日 1990年10月15日
Published Date 1990/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900198
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一般に,感染症の流行状況は病原体・宿主・環境の三つの要因の動的なバランスによって規定されるが,環境要因の一つとしての社会的環境が持つ意味は大きい.社会構造の如何によって流行は助長増幅され,また逆に制御される.この意味で公衆衛生の課題として感染症問題を論ずる場合,科学技術の進歩とその応用としての対策の奏功如何と無縁ではあり得ない,ここでは,戦後の感染症事情の推移を,その対策の歴史と重ね合わせて俯瞰し,これからの問題点について考察しよう.
図にいくつかの古典的な急性伝染病および細菌性食中毒の届出患者数の年次推移(厚生省統計情報部資料による)と,それに何らかの影響を与えたであろう主な出来事を示した.本号では,特に経口的に感染する疾患に焦点を合わせた.
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