histoire de la chirurgie 外科史外伝—ルネッサンスから"外科の夜明け"まで・7
パリ病院小史
大村 敏郎
1
1川崎市立井田病院手術室
pp.1229-1232
発行日 1982年8月20日
Published Date 1982/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208097
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□病院の果す役割
19世紀初頭のフランス医学は,フランス以外のすべての国々の業績を積みかさねても,それに劣らぬ程見事な華麗な展開をみせた.その背景には革命とそれにつぐナポレオンの時代によつて,旧体制が完全に崩壊したこと.それまで古典の文献にこだわつて保守的だつた内科医達が自ら解剖にとり組みはじめたこと.それも従来のような系統解剖ではなく,死因や病態を見極める病理解剖に手を染めてきたのである.ビシャー(Bichat),コルビサール(Corvisart),ラエネック(Laënnec)などが代表的な内科医といえる.
一方,外科も手術手技をみがくと共に,その基礎となる理論へも肉迫していた.すなわち内科・外科が同じく従来の歴史的な経過を捨てて相交わり,医学を大きく躍進させるエネルギーとなつたのである.
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