綜説
日本における衛生行政研究小史(その1)
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院 衛生行政学部
pp.385-393
発行日 1961年7月15日
Published Date 1961/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202421
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衛生行政研究の水準を高めるためには方法論の反省が必要であるが,このための第一歩は従来の研究の系譜を明らかにし,これを分類整理することであろう。前掲の小論においてはこのような見地から,衛生行政学が成立するために必要な理論的条件を考究するとともに,衛生行政学の母体ともいうべき一般行政学および公衆衛生学におけるアプローチの側面ないしはその方法論に学びつつ,衛生行政研究の方法論について若干の考察を試みた。
わが国の公衆衛生の領域における研究は,周知のように第2次大戦における敗戦を契機として,主として他律的な条件が大きかつたとはいいながら,政治,行政,経済,教育等に抜本的改革が進められ,その一環としての公衆衛生行政と公衆衛生に関する教育制度の大きな変革によつて,その気運が著しく促進され,とくに近年においては衛生行政そのものを研究の対象としこれに接近する努力が徐々にではあるが力強く育つてきていることは否定できない。
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