特集 健康づくりへのさらなる挑戦
健康づくり計画の今日的意義
橋本 正己
1,2
Masami HASHIMOTO
1,2
1国立公衆衛生院
2元埼玉県立衛生短期大学
pp.4-8
発行日 1990年1月15日
Published Date 1990/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900002
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■はじめに
1960年代以降のわが国の寿命の伸長と乳児死亡率の低下は,WHO等の国際会議の場でしばしば‘miracle’と評せられているが,これはとりも直さず世界に類のないテンポでの高齢社会化を示していることは周知のとおりである.近年,各方面のさまざまな調査が示すように,今日国民の最大の関心事は健康問題であり,一人ひとりの‘Quality of Life’は,国民各自が自ら創り出す健康の質によって,大きく左右されるようになったことが分かる.
戦後40余年,1医学徒としてひたすら公衆衛生の道を歩き続けた者としては,誠に深い感慨を覚えると共に,わが国の公衆衛生が,かつて経験のない新たな発展の段階を迎えていることを痛感する.求められた主題は標記のとおりであるが,この特集で紹介される十指に近いユニークな,市町村,府県からの貴重な事例の報告の背景として,公衆衛生・医療,および社会福祉の歴史的な経緯と今日の動向を巨視的に考察して,ご参考に供したいと思う.
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